「真紅のフレッシュ感」
【序:パイおじさんの、密かな浮気心】
僕は「パイおじさん」と名乗っていますが、実はピザも大好きなんです。 20数年前、オーストラリアでミートパイを食べ歩いていた頃、僕の頭の中にはいつも一つの疑問が浮かんでいました。
「ピザのマルゲリータはあんなにフレッシュなトマトの美味しさを楽しめるのに、どうしてパイの世界には、あの鮮烈なトマトやバジルを主役にしたものがないんだろう?」と。
それが、このマルゲリータパイの構想の始まりでした。
【破:煮詰めない、という反骨心】
開発を始めた当初、世の中のセオリー通り「トマトは一度煮詰めた方がいいのではないか」と考えたこともありました。 けれど、やはり僕は煮詰めたドロドロの食感が好きになれなかった。リンゴの時と同じです。 目指したのは、パイをかじった瞬間にトマトの瑞々しさが弾けるような、圧倒的なフレッシュ感。 あえてイタリア産のトマトを贅沢に使い、水分を絶妙に残すように調整しながら、香り高いバジルと合わせる独自の製法に辿り着きました。
【転:チーズの「黄金比」を求めて】
ピザのマルゲリータといえばモッツァレラが王道ですが、パイの場合はそう簡単にはいきません。強力なバターの香りを纏ったパイ生地に包まれると、モッツァレラだけでは少し存在感が弱くなってしまうのです。 そこで僕が選んだのは、ゴーダチーズとステッペンチーズの2種類をブレンドすることでした。 ゴーダで深いコクと風味を、ステッペンでとろりと伸びる楽しさを。 トマトの酸味、バジルの香り、そして2種のチーズ。これらがパイの中で一つに溶け合う「黄金比」が見つかった瞬間でした。
【結:トマト好きに捧げる、イタリアの風】
焼き上がったパイを割れば、鮮やかな赤、そして溢れ出すチーズ。 ピザとはまた違う、パイ専門店だからこそ表現できた「究極のマルゲリータ」です。 トマト好きのあなたにこそ、ぜひ熱々のまま頬張っていただきたい。 fealの厨房から、イタリアの爽やかな風をお届けします。
「鮮烈な赤」を、そのままあなたへ。
多くの人がソースを煮詰めていく中で、僕はあえて手を止めました。 トマトが持つ、あのみずみずしい生命力を、 ひと口食べた瞬間に弾けるようなフレッシュさを、守りたかったから。
煮詰めないことで辿り着いた、真紅の輝きとバジルの香り。 それは、停滞していた心にパッと灯りがつくような、 小さな、けれど鮮やかな「希望」の味です。
あなたの何気ない一日が、 この一切れでパッと明るく、鮮やかに彩られますように。
